« アスラン・ザラとキラ・ヤマト(幼少期) | トップページ | 小説版「機動戦士ガンダムSEED DESTINY(5)選ばれた未来」 »

2006年3月22日 (水)

君らしからぬ行動。アスランらしいとは?

ヘリオポリスでの”キラ”との遭遇は、アスランにとってこれ以上ないという想定外の出来事だった。
まさかのキラとの再会。「戦争」がどんなものかは知っていたつもり。
再会直前には、自らの手で人を殺める行為をしているのも事実であり、ラスティを失うことでさらに”戦争=命のやり取り”であることを強く感じたことだろう。
「血のバレンタイン」によって”ザフト入隊”を即決したのは以前に書いたとおり。
1週間で、というのはおそらく辻褄合わせの後付だとは思うけれど、とにかくアスランは”優柔不断”なんかではなく、昔から”決断力ある人物”であることは間違いなく、それは今も変わっていない。それも誰の指図を受けたわけでも、流されてのことでもなく、紛れもない自分自身での決断でのこと。

自分だけではない、大切な”誰か”の家族が一瞬にして奪われてしまったユニウスゼブンの惨劇。そんなことをもう繰り返させない為に決意した”地球軍(ナチュラル)”との戦い。けれどアスランに”人種”としての差別意識は毛頭ない。(あるのはやっぱりイザークかw)

(それなのに、どうしてこうなるんだ?)
『やめろ、ぼくらは敵じゃない、そうだろう?』『(コーディネイターの)お前がなぜ地球軍にいる。何故ナチュラルの味方をするんだ』『(一緒に)来るんだキラ、でないと俺はお前を撃たなきゃならなくなるんだぞ』
説得であり、願いでもあり、悲痛の叫び。
もう誰も、誰かの身近で親しい人間や大切な家族がこれ以上失われることがないようにと戦うことを決めたのに、どうして自分の”失いたくない大切な友達”が撃つべき”敵”として目の前に現れ、戦わなければならない存在になってしまったのか。なんて皮肉な廻り合せなのか。
本末転倒。想いと矛盾してしまった現実。

『君こそ...なんでザフトになんか!戦争なんか嫌だって、君も言ってたじゃないかっ』『でも、あの船には仲間が...友達が乗っているんだ!』

アスランもキラも”基本的な思い”は同じ。
けれど、この時点で既にアスランとキラの守るべきもの(見ている世界)に微妙な違いがあることがわかる。戦争に関わるそもそもの経緯(&やっぱり家庭環境)であり、その対象の大きさの違い、ということ。
で、この視点の違いからくる差異は、この先どこまでいってもそのまま残り続けるんだよなぁ(笑)
さすがにここまでくると”環境”というより、本来の二人の性格、個性の違いだから、どちらが良いとかそういう問題ではない。
(キラも、カガリに”オーブが撃たれなければそれでいいの?”と言えるくらいに広い視野を持つようになるけどね。それでもまだちょっと違う)

14歳のアスランは確かに”戦争は嫌だ”そう思っていた。”戦争になんかならないさ”そうとも思っていた。それなのに”戦争”は起こってしまった。
「自分も何かしなければ...。一体今の自分に何ができるだろうか?いつまでも昔のままじゃいられない」それが16歳のアスラン。

”敵”として現れた”大切な友達”であるキラ。
(なら、敵でなければいい。敵でなければ戦う理由がない。)
今の自分には自分の使命があり、勝手に戦いをやめることはできない。けれどキラを撃つなんて考えられないし、考えたくもない。だからあのまま放って置くわけにはいかない。このままではいつか”敵であるキラ”に撃たれる時がくるかもしれない。それでも仲間に撃たせるわけにはいかない。かといって仲間が撃たれても困る。もし、そんなことになったなら・・・・自分が撃つしかないのか?
一次的に動揺し、命令違反までも犯したアスラン。とはいえやや平常心を取り戻せば、「撃つ以外に、この事態をどう回避するか」を冷静に考えることができるようになるあたりは、さすがアカデミー主席卒業のエリート”ザフト・レッド”のアスラン・ザラ。(この件に関しては多少クルーゼの誘導も感じられるがw)
命令違反で出頭して事情を聞かれ、そのまま(キラのことを)「説得したいんです」とクルーゼに必死に訴えるあたりは、まだ平常心とはいえない...どころか感情的ですらあるアスラン。
・・おや?デュランダル議長に訴えていた時のアレックスと似ている?(同じ人間だってばw。)
ともかく、少ない選択肢の中から、それでも最善策を選びたいと思うのは当然のこと。
めったなことで、己の感情だけの言動をするアスランではないけれど、それ故そういう時の行動パターンは変わらない。立場や名前がどうあれ、人間そうそう本質は変わらない。

”ストライク”がフェイズシフトダウンし、”デュエル”によってトドメを刺されそうになった時、”イージス”を割り込ませて”ストライク”を捕獲したこと。
咄嗟の行動はアスランの苦汁の選択。またもや命令違反。(命令は”撃破”に変更)
それでもその理由を即座に釈明できるあたり、アスランが総合的判断力に長けている証明といえる。(ホントのところはキラを救うことしか考えていなかったとは思うけど、ま、頭の回転がそれだけ速いってことだねw)
実際、クルーゼ機すら被弾させる”ストライク”は既に敵軍の脅威であり、撃破が打倒かも知れない。けれど捕獲が可能ならば、当初の目的どおり、そうしたほうがザフトにとっては有益である事は間違いないはず。(それとパイロットは無関係だけどw)ここでの”撃破”は今までヤラレッパナシだったことに対する私怨であり、単なる報復でしかない。(・・・というところまでは、さすがまだ考えてないよなぁ)

アスランが”ザフトの中”で、ここまで勝手なスタンドプレーに走ったのは、後にも先にもここだけ。(つい感情的な言動しちゃうことは、たまーにねw)
それがクルーゼに「君らしからぬ行動」と言わせ、ニコルにも「あなたらしくない」と言われてしまうアスランとなる。(今なら、アスランのこの手の行動は誰しもが”アスランらしいなぁ”って思うだろうにw)

この場で、キラのほかに”ただのアスラン・ザラ”を知る者はいない。
今、目の前に在るのは「ザフトのアスラン・ザラ」だから。

この頃のアスランは「ただのアスラン」と「ザフトのアスラン・ザラ」の狭間にいる状態。
「ザフトのアスラン・ザラ」として自分の信じた正義を貫こうとし、その為の努力は惜しまない。そんな中でのキラとの再会。キラの言葉で、自分の中の「ただのアスラン」を少しだけ思い出す。そのことで「戦う理由」について、もう一度初めから考え、その後何度となく繰り返すことになる。(ラクスの言葉も相乗効果をもたらすけれど)

パトリックやクルーゼの言動に違和感をまったく感じないアスランではない。
評議会の査問委員会での出来事。
パトリックとの口裏合わせから始まり、(そのシナリオどおりに)ヘリオポリス崩壊の事態説明から、連合の機密兵器、XナンバーのMSの脅威へと話をまんまとすり替え、恐怖心をあおり、その行為自体を正当化させてしまったことに対して、アスランは、評議会でのその光景を目の当たりにしたことでより釈然としない思いを感じたはず。はじめて政治の裏舞台を垣間見たそんな気分。それでも、そこでパトリックが示した「戦う理由」
『我々は我々の為に戦う、戦わねば守れぬのならば、戦うしかない』
の言葉は、どうしたってそのとおりだと思う。
戦争は嫌だ・・と叫んでいても、待っていても平和はやってこない。だから戦う”しかない”のだと。(実はムウもキラに同じことを言っているんだよね)

まだまだ16歳のアスランの思考の終着点はここ。(キラはそれ以前。まだ逃げ回っている状態)もともと正義感そのものは持ち前だし、素質を生かした能力的な優秀さは言うまでもなく、昔も今も変わりなし。
やっぱりこの”男の子”二人を大きく成長させるのはラクスであり、カガリなんだなぁ。
ラクスはアスランの中のアスランの覚醒を促し、自分で殻を破らせる。
カガリはカガリでアスランの心に直接触れて対話し、解きほぐす。
アスランっていい女に囲まれてるよなぁ。
”アスランだから”なのかもしれないけどね。


”アスランらしい”とはなんだろう?と思う。
私は「ザフトのアスラン・ザラ」もアスランらしいと思う。(結果的良し悪しは別の話)
もちろん、キラキラ言うアスランもアスランらしいと思う(笑)
アスラン自身、「自分らしいとはなんだろう?」きっと答えは出せないだろうし。

普段と違う言動をしたからといって「らしくない」とは言い切れないと思う。
人って、人の心ってそれだけ複雑なもの。
起こった”事実”はひとつ。でもその”事実”が”真実”とは限らない。
”真実は人の数だけある”(らしいw)
けれど、ひとりひとりの”真実”はいつもひとつww
そういうことだと思うし、それでいいと思う。(それを他人に押し付けなければ)

だからね、ほんとうは何かを前提にしたものの言い方は好きじゃないんだよね。
それで毎回最後はこんな風に締めくくることになる。
「この考察は私のものであり、そのなかで仮定し断定したものだ」と。
それを踏まえた上で一理あると思ってくれてもいいし、そうではないと思ってくれてもいい。(それにしても、自分の中に漠然とでも何かがなければ肯定も否定もないと思けど)
ただ私の中の”漠然とした思い”の形づけでこんな書き方になっているけど、自分の考えに固執しているわけではない。何かに触れて変わることがあるかもしれない。まだ知らない事実もたくさんあるだろうしね。

人は変われる、考え方も変化する。そういうものでしょ?それでいいじゃない?
それこそアスランのようにね。

« アスラン・ザラとキラ・ヤマト(幼少期) | トップページ | 小説版「機動戦士ガンダムSEED DESTINY(5)選ばれた未来」 »