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2006年4月 4日 (火)

アスランにとってのラクス。

ラクス・クラインとアスラン・ザラの関係性、実はとても難しいのだよなぁ。
二人の会話はDESTINYになってからほとんど交わされることがなく、他でもお互いの事を話題にすることもまずないし。
毎度の事ながら、以下は自論。(特に今回はその色が強いと思って欲しい)

アスラン好きの方々には、どうしても嫌われてしまう傾向にあるラクス。
黒い黒い言われ続け、コトあるごとに「”お身体のことではありませんわ”だもんねー」てな感じで(笑) 
”アスランはラクスが苦手に違いない”と言う人も少なからずいる。ある意味そうかも。実際、ラクスのキラとアスラン、二人に対しての接し方には違いにはいくらなんでも差がありすぎだしね。
それでも私は、ラクスはアスランにとっては、かつての婚約者であり、現在の同志としてとても大切な人、守るべき人であり、また公人としての彼女を認め、その支えのひとつとしても己が出来ることすべきことを踏まえたうえで、共に闘っていこうと決意しているように思っている。

ラクスほど「個」にこだわった人物はいない。自分に対しても他人に対しても。
彼女自身はいつも揺ぎない。その上で他人に対しても、常に1対1として接する。
母の教え「生まれでで、この世界にある限り、世界はあなたのもの、そしてまた、あなたは世界のもの。」 平和の歌を歌う。自分の為に、みんなの為に。一人ひとりの尊さを思い、それを大切に思う。
また父の傍らに立つことで、その志を活動を見て聞いて肌で感じて、静かにその発端と顛末を見続けた。そんな経験の数々がラクスの人をや物事を見通す目を養っていったのではないだろうか?人の本質をまでをも見抜く能力。
真っ直ぐに揺ることのないその視線は、他者を圧倒する。その言葉は人々を魅了する。

ラクスは、アスランの誠実さや正義感、強さ、弱さ、葛藤さえも見切ったように、そのものスバリを突きつける。心に突き刺さる言葉を投げかける。でもそれはアスランだから。生半可な付き合いではないことの証明であり、むしろ”アスラン”という人物を信じているから。
いつもいつも、もうギリギリの時間しかない、ということもある。
「もう迷っている暇はないのですよ。答えは出ているのではないですか?」 ラクスの口からは決して語られない本当の意味での誘導の言葉。
過去も行いも責めず、否定せず、事実を告げることのみに徹し、必ず最終結論は本人に決めさせる。そして出した結論にさえ意義を唱えない。
それも”アスラン”にだから、なのだと思う。(実際、いつもその答えに選択の余地はないのだけどねw)
いや、コレは全ての人に対してそうなのだろうな。キラにしても、手の内を明かした上ではあるけれど、本人の意思に任せる、というスタンスを保っていたしね。

こういう時アスランは、いまある自分の心の裡の居心地の悪さや違和感の理由、本当の居場所を探し求めている自分を改めて知る。本当はどうしたいのか、どうすべきなのか、答えは最初から分り切っていることなのに・・と。そして思う。
いつしか迷宮の闇に取り込まれ、立ち止まり、振り返り、逡巡している自分。そんな自分の背中をちょこんと押してくれるのがラクス。
差し伸べられる手は存在しない。あくまで立ち尽くす自分の後ろをポンと押して弾みをつけるだけ。どちら足を、どの方向へ、どんな一歩を踏み出すかは全てアスラン次第。踏み出した瞬間、霧が晴れたかのようなクリアな視界を甦らせる。
見渡せば「やはりあなたはこちらへいらっしゃいましたのね。」と手を振るラクスが、キラが、カガリが、心を同じくする強い絆で結ばれた仲間たちが集まっている。
一時そこを離れることになったとしても、どんなに回り道をしても、いずれたどりつくだろう自分のホームベース。
ホーム=戻ることのできる場所であり到達点でもある。そして振り出し。
「諦めさえしなければ、何事も遅いということはない。間違ってもまた始めからやり直せる。何度でも。正しいと思う答えでさも変化し続けるのだから。だが、そこへ行くつくまでの道程も決して無為なものではない。それでいいんだよな。」と。

・・・とまぁ、こんなことはラクスに厳しい方々にしても百も承知であり、それを踏まえてもまだ。。。ということなんだろうけどね(笑)
その役目は「カガリ」だと思ってのことかもしれないし。
その辺りは希望ってことかな?カガリとラクス、たとえ二人が同じ言葉を言ったとしても、アスランにとって親しい者と愛する者で、言葉の受け取り方、心に作用するものは違うのではないかしらと思う次第。やはりアスランに手痛い説教をするのはラクスの役割なんじゃないかな?”キラ”という鎮痛剤も上手に投与できることだし(笑) 
巡りめぐってやっぱり最後のキメは、「アスランでしょう?」 
誰よりも効くパンチに違いない。

DESTINYで議長をコロッと信じちゃったこと。
これもSEEDの時の自由で余裕がある賢いカガリならば、同じ事をアスランに言えたのかもしれない。「お前はアスランだと」。”できればカガリにそう言って欲しかった”いう方がいらしたし、私もそうだなぁ、とは思った。
ただ、”議長”という地位も権力もある大人から「君は君だ」と言われた場合と比べてどうだろう?他人からの肯定。アスランの凝り固まった心のしこりをどちらかより多く溶かすだろうか?身近な者の予想以上に、本人ですら気がついてない程にアスランの心の傷は深かったのではないか?キラともまた違う観点での心の傷。
議長の、心にしみる(巧みな)言葉の数々。だから信じてしまった。議長は解ってくれる、多角的な目を持っている人物だと。
実は、誰もがずっと「アスランはアスラン」だと言っているのに、どうして自分だけ(から?)”アスラン”でなくなっちゃうのだろうか・・・
イヤ、きっとそれもアスランだからなんだと思うのだけどw

私は割と黒ラクスタイプな人間で、自分自身では外堀をしっかり埋めて用意周到に事を運ぼうとする傾向が有り、また指導する場合もまず「言葉じゃなく、感覚を養え!」と言い、さらに答えを明かさない>黒たいむ?w
相手に見込みがある故に、つい吐いてしまう暴言?の数々。随分と恨まれたこともあったけど、感謝されることもある。逆に痛い言葉を突き返されることもしばしば(汗)
なんかね、どっちの気持ちもわかるし、そうできる関係性が好きだったする。
だからどんなに厳しいラクスでも嫌いにはならない。なれない(笑)

『黒ラクス』と散々言われているラクス。
DESTINYに置いてはSフリーダムにIジャスティスの開発、虎ガイヤにしても、各地に散るクライン派の暗躍(?)にしても、それら全てがラクスの指示で行われていたかのような言い方をされている。
でも本当にそうなの?という思いは消えない。
本人不在のまま”ラクス・クライン”は救世主のように奉り上げられ、その影で地下活動を続けてるクライン派。実際はそういうことなのではないか?
一人歩きし始めた”ラクス・クライン”と、愛する人と寄り添っているだけで幸せな単なる女性である自分とのギャップには、ラクス本人が一番苦く思っていたはず。
全てを捨てることになんの躊躇いはなかった。でも完全に捨て去ることは許されなかった。それがクライン派の活動の黙認。事実はそれに近いのではないだろうか。
いつしか全てを支配したかのような「黒ラクス」。内実がどうであれ、そのカリスマ性と指導力、統制力は本来のもの。クライン派は各地に存在し、やがてそれらを必要とする時が来た。”ラクス・クラインの名の下に結集した組織”逃れようのない事実が残る。
小説5巻でついに語られたラクスの己の過ちを認める思い。
「一度始めてしまったことを、最後まで遣り遂げずに逃げ出してはいけなかった。」
少なくともラクスが”完全無欠な女帝”などではなかったと再確認する私だった。

ただし、「SUIT CD8」でのラクスはバルトフェルド隊長を手玉に取り、密かにミーアとの入れ替わりを企んでいるようなラクスであり、しかもキラをも欺いて・・・となると、やっぱり「まっ黒」か?と思わざる得ない(笑)
でもそれはキラとアスランに対する態度の違いからも分るように、普通の女性がそうであるようにラクスもまた「愛する人には可愛く見られたい」という”ただの女心”からの黒さかなーって思う。そもそも女は計算高い生き物だし、誰しも小悪魔的な側面を持ってるでしょw なかでもラクスは特に賢いから、様々事態にも応用が利くってことでどうでしょう?=用意周到な黒ラクス。(援護になってる??)

ラクスとアスラン、二人の出会いは「SUIT CD3」でアスランの視点から語られている。
「婚約者として会うように」父の言葉には”横暴な”と思いつつも、歌姫としての彼女を知らないワケもなく、ファンではないにしても好印象ではあり、いそいそ花なんか持って会いに行っちゃうアスラン。
初対面でのラクスの天然ぶりにはド肝を抜かれ、戸惑うばかりのアスラン。
それでも、その穏やかで優しい物腰には心安らぐものを感じたのではないだろうか。
というか、きっとアスランはラクスの的外れな言動の中に、どこか”キラと同じ何か”を感じ取ったのではないかと勝手に思っている。
ふわふわと掴みどころがないのだけど、いつもニコニコと楽し気で、ちょっと世話の妬ける不思議なコ。このコとなら・・・そんな風に素直に思っていたのではないかしら?ウブなアスランくんは(笑)

『黒ラクス』から勘ぐれば、実は”不思議ちゃん”を装って、アスランを試していた・・なんてことも考えられなくはない。
この時既に「質問を質問で返すラクス」なわけだから。(明らかに??)
何事にも真摯に受け答えするアスランの誠実さは、初対面でも強く感じられたことだろう。とりあえずおめがねに適い一応婚約者に、かな?
実はラクスからは一度として「アスランは婚約者」という言葉は使われていない。
「アスラン・ザラは、わたくしがいずれ結婚するお方ですわ」まるで他人事のよう。
まだ14歳でもあり、二人の間がそうそう進展するはずもないのだけど、それ以上にもそれ以下にもならなかったのは、お互いがお互いでその距離を詰めようとしなかったから。
ひょっとしたらラクスは静かに深く見守りつつ、待っていたのかもしれない。でもアスランはそうしなかった。出来なかった。カッコつけていたわけでもないのに。

戦争は二人の間を別った。お互い違えたパートナーを見つけ出した。
それは二人の破局ではない。恋愛というスタート地点にも立っていなかった二人なのだから、どちらにしても罪悪感などはどこにもないはず。
あるとするならば・・・結果的にラクスの本質を見抜くことが出来なかったアスランの、己の不甲斐なさにちょっぴり心が痛んだ、という感じかな?

それでもラクスはアスランを正確に見据えていたことは違いなく、その結果が、ラクスのアスランに対するストレートな言動に表されているのだと私は思う。
本来持つアスランという人物の器量の大きさをちゃんと理解してのこと。これしきのことで脆くも簡単に崩れてしまうような人ではないということを。

そんなラクスにアスランはいつも感謝と敬意の念を持つ。自分に対する評価も含めて。そしてこれからも大切な存在として、共に戦う同志として、同じ道を歩むもの者と位置づけているのだと私は考える。

本当の意味でアスランはラクスが苦手だろうか?
たぶんそんなことはない。
ラクスはラクスであり、天然なラクスも本当のラクスであり、あらゆる意味でラクスには振り回されるとわかった上で、とても上手く付き合っているのだから。
世話が妬けるのはお互い様ってことでw

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