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2006年7月17日 (月)

「カガリと、カガリ・ユラ・アスハと、アスランと」-4章カガリ・ユラ・アスハ-

地球連合軍のオーブ侵攻時。この時のオーブの敵は地球連合軍であってザフトは第3者的立場。けれど味方ではないのもまた事実。アスランの使命はフリーダムの奪還であり破壊。個人の意思で戦闘に加わり、それも援護で介入。挙句に今こうしてここに居る。そのようなことが本国にバレた時の、そんな彼の立場も少しは気になったのかもしれない。
・・・・・・うーん。この時点でそこまではないか?都合よく考えすぎかな? けれどジャスティスを置いて、「プラントへ行って父と話す」というアスランを送りだすときはちゃんとそこまで心配しているわけであり、ただでさえ、国のこと、お父様のこと、自分自身のことキラとのことで頭の中はぐちゃぐちゃだろうに、そんな時でさえアスランを気遣うカガリの懐の深さ・大きさに計り知れないものを感じる。
実はこれがカガリの最も基礎的な部分であり、きっとそれがカガリそのものなんだろうなぁ、と思う。真っ直ぐで、真っ白で、大きくて、柔らかくて、万人・万物において、分け隔てのない愛。すごいなぁと思う。カガリの個性であると同時に、カガリ・ユラ・アスハの資質なのだね。等身大のカガリの中に、しっかり存在するオーブの姫としての培われた資質。ここで
『ああ、そうか。それが姫というものか。カガリは最初から最後まで姫だったんだなぁ』と、やっと私の中でそこに行き着いた。
キラだからということではなく、もちろんアスランだからでもなく、誰だからということの無い、この世のすべてを愛し気に懸けるという”姫様的偉大なる愛”のなせる業とは言えないか?姫の中に根付いている博愛。自覚や個としての区別はなくても。
常にすべてを受け入れようとする愛であり、すべてを包み込もうとする愛。それは決してひとりだけに注がれることのない大きな愛。それがカガリ・ユラ・アスハの持つ愛情。
となればそれは、その愛はいつだってたった一人だけの為に向うことはない。カガリのアスランへの思いは、はじめは恋じゃなくて、“カガリ・ユラ・アスハの愛”だったんじゃないかなぁ。
・・・そう思えば、納得できる部分は多多あるようにも思えてくる。しかしそれは私自身かなり残念なところ。でも、カガリが在って、そこにカガリ・ユラ・アスハの愛を持ち続けることが出来る彼女だから国民から指示され、アスランからも、誰からも愛され続けているではないかと思う。

とはいえ、カガリがアスランに恋していなかったか?といえば、そんなことはありえない。
ひとりの人間としてなんの関心も持たない者の心の痛みや、奥底に隠れた何かを見抜くことなどできっこないのだから。
思うに、カガリの過ちは、まず自分自身がそこにきちんと気がついていなかったということ。大きな愛の中に、それらとはまったく異なる愛情が埋もれているのを埋もれたままにしてしまっていたこと。そこにあると知っていたはずなのに。
愛とは、与えるだけでも与えられるだけでも成立しない。与えて与えられて応えて初めて大きな力となる。本来、無意識などということはありえない。カガリは、あまりにも自分自身を後回しにしたが為にそのことに気が付くことができなかった。
ヤキンの戦いの後、様々なことでカガリの視野がどんどん狭くなってしまった理由のひとつとして、カガリがカガリである前に、カガリ・ユラ・アスハになってしまっていたからではないかと思う。もしくは、カガリ・ユラ・アスハになろうとしていたのではないかということ。弱体化してしまっているオーブという国にために、元のような健全な国へ復興させるためにと。カガリもまた「アスハの呪縛」に囚われてしまっていたんだろうね。

自分を理解しあたたかく見守ってくれるアスランはいつでも傍にいてくれた。当たり前のように。いつも自分の話しに耳を傾け、頷き、時には意見もしてくれたことだろう。彼が今の立場に甘んじていることに苦い思いでいることも知らないではなかった。けれど、それは仕方が無いことだった。自分にはまだなんの力も無いと知っていたから。
「アスランとして、アレックスとして、今の自分にできることをしたい」といって旅立つ彼を送りだした。送り出すしかなかったカガリ。その“カガリ”は、カガリだろうか?それともカガリ・ユラ・アスハだろうか?もしくはその両方?
カガリを見ているアスランに対して、カガリはカガリ・ユラ・アスハを支えてくれるアスランとしてみていなかったといえるだろうか?

アスランが旅立つとき小さな約束を交わした。それはひとりの女性として、カガリとして素直に嬉しかったはず。
ユウナとの結婚。それはカガリ・ユラ・アスハの決断。
カガリとしてならば、アスランに対する裏切行為以外の何ものでもない。
アスランなら、カガリ・ユラ・アスハを許してくれる、そんな風に思っての決断か?
まさか行ったきり帰ってこないなどと、思ってもいなかっただろうに。(結果的にそれに近いものになってるけどw) だけど、そもそもはカガリの、オーブの(もしかしたら世界の?)為に旅立ったアスランだったわけで・・・。いったいアスランが戻ってきた時、どのように言い訳するつもりだったのだろうか?鈍い・・というかほとんど無神経に近い。
コレがあって、「24話すれ違う視線」で決別して、そこではじめてカガリという自分自身とアスラン、カガリ・ユラ・アスハとしての自分、オーブという国、これからの世界、ほか様々なことを考えるようになれたカガリであり、そこから更に大きく成長していく事になるのだけど・・・。痛い。

カガリとカガリ・ユラ・アスハ。どれほどの違いがあるかというと、違いは無い。けれど、同じでもない。どちらも同じ人間ではあるのだけれど。しかしそれぞれの言動の違いは、時に他人には大きなギャップを感じさせてしまうことがある。その部分を一緒くたに理解させてしまおうとすると誤解を生じさせてしまうことすらある。
もちろん逆もある。同じカガリでも親しきものが知っているカガリ・ユラ・アスハと、シンの見たカガリ・ユラ・アスハは全く違っている。別人ほどの開きがある場合もある。お互いが知っているカガリしか知らないから。それを互いに説明し合うことは難しい。それはどちらがどちらと決めつけるべきではないし、付けてはいけないのだと思う。やはりどちらも正解であり、カガリ・ユラ・アスハであることには違いないのだから。

アスランのプラントへの旅立ち時、やっぱりカガリはカガリ・ユラ・アスハとして、最善と思われる決断をし、アスランを送り出したのではないかと思う。そしてアスランもアスランで、アスラン・ザラとして旅立ったのだと。

人は当たり前だと思っていた人と離れて、初めてその人物の存在を意識する。まず身にしみるのが大切さというよりは有難み(笑)。今まで気付くことすらなかった小さなフォローの数々に否が応でも気が付き始める。そこに改めて“居ない”ということを実感し、決してそれは当たり前のことではなかったのだと反省する。自分が知らずにどれだけたくさんのことを与えられていたのかにはじめて気が付き、相手の存在の“大きさ”を自覚する。
けれど大切なのは、そうして自分がたくさんのものを与えられていかに愛されていたか、ということよりも、自分はどれほど相手に何かを与えていたか、与えることが出来ていたか、それどころか与えることを怠ってはいなかったか、ということに気が付くことなのではないかと思う。
離れてやっと気が付くことしては、自分がどれだけ大切にされていたかということであり、相手が自分にとってどんなにかけがえのない存在だったかということ。愛されていたのだと心から思えることなのかもしれない。それでも、それ以上に
「自分がどれだけ彼を愛していたのか」 
その存在の重さ、大きさにまで気が付くことができなければ、もしかしたら、それまでかもしれない。
そして、いま、カガリはちゃんとそこまでちゃんと気が付いたのだと、私は信じている。

実際のところ、カガリはアスランを完全に失っちゃいない。解放したのか、解放されたのか、どんな意味でも少しだけ距離を置くことが必要だと判断してのこと。
それはアスランにしても同じこと。それでも“自分が”愛する人として強く意識していける存在が心に在ることはこの上ない励みであり、生きる希望であり、それだけで力の糧となり、強さに変わる。
愛を知った人間は貪欲になる。だからきっと大丈夫。この二人の何もかもが上手くいく時が必ず一度はやってくる。

散らばっていた様々なものをつなぎ合わせてきて行き着いた答えのようなもの。
自由奔放でいて、実は最初から見えない何かにずっと縛られていたカガリだったということ。それはアスハへ引き取られ“姫“という役目が与えられてしまったことも含めて。
どんどん狭まっていく視野に閉ざされ、その理由に気付かず、尚更に役割を全うしようとして余計に空回りし、悪循環していたのがカガリ・ユラ・アスハ。それ故にカガリである自分を知らず知らずに閉ざし、いつしか履き違えてしまった愛の有り様。
今こうしてカガリを考えてみると、ほんとに良くわかっていなかったなぁーとしみじみ思ったりする。(これにしても個人的見解の以外の何者でもないけれどね)
カガリの聡明さや強さ弱さ(鈍感さ)を理解しようとしたら、大きな“アイ”がないとなかなかたどり着けないものだなぁと、つくづく思った次第。

・・・つづく・・・

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